前回の四季報スクリーニングで抽出された銘柄について、適当に選びながら軽い分析をしてみたいと思います。別に売買推奨をするつもりはなくて、興味を持たれた方が更に深く調べるためのとっかかりのような位置づけでお願いします。
第一回目は(9830) トラスコ中山です。
・・・すいません、のっけから景気敏感株を選んでしまいました。私の投資の守備範囲外ですが、ビジネスが面白かったので取り上げます。
事業内容
工具、作業用品、機器類など機械工具の専門商社です。機械工具のカタログを工場などに配布し、ユーザーの注文に応じて商品を翌日には納入します。小ロットでも必要な時に即納してくれるので製造業者にとってはありがたい存在です。言ってみれば、機械工具版「アスクル」のような企業ではないでしょうか。
リスク
機械工具という商品の特性上、どうしても景気の影響を受けます。製造業の業績が良くなり、設備投資が旺盛になるとトラスコ中山の出番なのですが、一端需要が冷え込んでしまうと売上も落ちてしまいます。過去の売上推移を見ると、2003年頃まで売上は1000億を少し超えたところで停滞しており、その後、景気の回復とともに売上が伸びるというパターンを示しています。
定量分析
●成長性
| . |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
今期予想 |
| 売上高 |
102,333 |
101,708 |
106,851 |
117,731 |
129,176 |
134,000 |
| 経常利益 |
5,656 |
4,514 |
6,024 |
7,350 |
8,682 |
9,100 |
| 当期利益 |
2,945 |
2,147 |
3,324 |
4,226 |
5,044 |
5,000 |
| . |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
今期予想 |
| 売上高伸び率 |
-0.6% |
5.1% |
10.2% |
9.7% |
3.7% |
| 経常利益伸び率 |
-20.2% |
33.5% |
22.0% |
18.1% |
4.8% |
| EPS伸び率 |
-28.1% |
56.3% |
27.0% |
19.7% |
- |
今期予想は会社発表の数字を採用
●収益性
| . |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
| ROA |
3.6% |
2.9% |
4.2% |
5.0% |
5.6% |
| ROE |
5.3% |
4.0% |
5.4% |
6.4% |
7.2% |
分子の利益 = 営業利益*(1-実効税率) で修正
| . |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
| 総資産回転率 |
1.32 |
1.36 |
1.50 |
1.53 |
1.57 |
| 売上高営業利益率 |
4.9% |
3.8% |
5.1% |
5.9% |
6.5% |
| 売上高原価率 |
82.5% |
82.2% |
81.6% |
81.3% |
81.1% |
| 売上高販管費率 |
12.6% |
13.9% |
13.3% |
12.8% |
12.5% |
売上の増加とともに利益率が向上しています。特に原価率と販管費率の低減が収益の向上に寄与しています。
●安全性
| . |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
| 株主資本比率 |
67.4% |
71.5% |
79.1% |
77.9% |
77.2% |
有利子負債0の無借金経営です。財務上全く問題ありません。また、社員と役員の退職金制度を年次払いへ切り替えることによって退職金債務を一掃しています。さらに機械工具業界で慣習的に行われている手形での取引を全廃し、かなり財務に気を遣っているのがわかります。
扱っている商品が景気の影響を受けやすいだけに経営者は財務を非常に意識しているのかもしれません。まず潰れることはないでしょう。
●割安性
| 配当利回り[%] |
1.75% |
| 今期PER |
14.2 |
予想PER
(予想経常利益*(1-実効税率)で修正) |
14.3 |
| 今期PCFR |
9.6 |
| EV/EBITDA倍率 |
5.75 |
●その他
・ここ数年、売上が伸びているにもかかわらず、売掛債権は減少の一途です。キャッシュフロー的に見るとかなり効率的な経営をしているように推察します。
・今年に入ってから、東海地区への投資(物流センターの新設、営業拠点の開設)を積極的に進めています。自動車関連産業の需要を狙ったもののようです。物流センターはひとつ20億円程度のキャッシュアウトになります。
・予想売上の伸びが今ひとつですが、ホームセンター向けの取引を見直すため、この事業部で40億円の減収を見込んでいます。取り扱い商品を機械工具に選択集中するため、バラエティ商品、文具から撤退するそうです。また、協賛金、他社納入品の返品受け入れ、販売応援などの見直しも行います。顧客に対して強気の姿勢ですね。その分競争力がよっぽど強くないと易々とはできない芸当に感じます。
・IRが非常に充実しています。月次の売上動向まで載っていますので、月次分析派は腕の見せ所でしょうか。
●総評
ビジネスモデルとしては大変素晴らしいと思います。これだけの物流網を全国に展開して、即納体制を整えることは、大きな参入障壁になるのではないでしょうか。経営方針も合理性があり、ほとんど問題ありません(私は無借金経営を今ではあまり評価していません。問題はそこだけ)。いかんせん、景気敏感株というのが惜しいですね。将来の業績見込みが私には立ちません。ただ、不況のときでもそれほど大幅に売上を減らすことなく利益を上げていた点は評価できると思います。やはりこの辺はビジネスの強さなんでしょうか。
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